そこで僕を待っていたのは
何も変わらず居心地の悪い空間
冷たくなった父、幼なじみの透子さん

それから──小さなワンコ

大嫌いだった父から、ペットを苦手とする僕への
それが最後の置きみやげ。

わんわんと泣くばかりのやかましくうっとうしい
僕のもっとも苦手とするタイプであるところの
その迷惑な忘れ形見を
けれども僕は捨て去ることができなかった

泣く子には勝てないということなのか
透子さんのお願いだったからなのかはわからないけれど…

とにかく今、僕の傍らには、泣き虫なワンコの笑顔がある



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